コラム

ワンピースは受け継がれる

2020年12月僕はシングルファザーになった。妻を病気で亡くし、当時小学校3年生の長女と保育園年長の長男の3人家族になった。
妻が亡くなる前日、陽気な日差しに誘われて、ウッドデッキに車いすを押して出て2人で話したこと、それは『ワクワクする人生を選びなさい』だった。
その時妻はすでに目も見えず、立ち上がることもできず意識も朦朧としていたがその言葉だけはしっかりと伝えてくれた。

僕にとってワクワクすること、それは藍で染めることだ。
空気に触れた瞬間にどんどん色が変わっていく様子。
水で洗ったときに出る鮮やかにパッと出る青色。
発酵という無限の微生物たちが織りなす液の表面に出る宇宙感。
そして青く染まる手。

畑で育てるということもおもしろい(というより狂ってる)。
すくもにする時なんか冬なのに水だけで60℃超える温度になる。
一連の流れが僕にとってワクワクすることだ。

妻が亡くなって、娘のことをイメージしてすぐにこのワンピースを染めました。
遺品の整理って色々あるけれど服は思い出が強いからなかなか手放せません。
だから染め直して身に着けることで供養出来たらって思う。
藍で染める青色って男性にも女性にも子どもにもおじいちゃんにもおばあちゃんにも、地球人にも宇宙人にも神様にも悪魔にも似合う色になる。だってそれをイメージして僕が染めるから。

遺品を染め直して供養する。そんな受け継ぎ方があってもいいと思います。

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